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激辛甘味の日記

週間WJ「銀魂」の妄想垂れ流しの腐女子ブログ
2024
05,05

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2006
10,11
夕暮れが教室の中を焼いていく。春から夏への入れ替わる間際のほんのり
とした暑さが心地よいそんな空気の中、あいつはいつになく真剣な
顔つきで自分を射抜いた。

"…あんたが、…銀八が好きだ…"

そう告げたあいつの真意を探りきれないまま季節は秋から冬へと
移り変わろうとしている。

そういえばこんな夕日の中、あいつの顔をまともに見ていないような
気がしてガラス越しに瞳を眇める。



鐘が鳴り終わった廊下をぺったぺった音を立てながら進む。
受け持つ3年Z組の教室の前に立つとふとキチンと閉まった扉に首を傾げた。

いつも騒がしい馬鹿共がいる教室が嫌に静まり返って、更に違和感増大。

十中八九悪戯で満たされたホームルームになるに違いないと勇んで引き開ける。

「ホームルーム始めっぞ…、おわァアアアッ!」

殊更のんびりと続けようと口を開けば、目の前で弾けた派手な音。

「い、いくら憎くたってなぁ、バズーカで撃つこたぁねーじゃねーかァアアア!」

叫びながら顔を庇えば色とりどりの紙切れと、

「リボンンンン…?」
「もうボケてしまいましたかィ。せんせーのめでてェ日じゃねェですかィ」

爆撃されたのは勘違いだったらしい。
ふと見れば黒板には誕生日おめでとうの文字。そこまで考えてふと思い出す。
で、この有様らしい。若いとなんでも楽しめるとはこのことだろうか。
そこかしこでおめでとうの言葉に、新八が立ち上がりニッコリと解説する。

「松平先生が教えて下さったんですよ、水臭いじゃないですか。誕生日おめでとうございます」

ワイワイと騒ぐ生徒らからつい土方を探すと視線が合ってふいに視線を逸らされた。

見つめてくれちゃってくれたわけね。ふいに笑みを零すと近藤が立ち上がって即席パーティーの開始を告げた。

(おいおい、ホームルームの時間で仕切りは俺だがよォ…)

そんな呟きは綺麗に無視されそこかしこで騒ぎが始まる。


あっという間に自分の祝い事を越えて騒ぎ始めるバカどもを黒板に
凭れて眺めていると教室を抜け出る土方の背。

気取られないように教室を出ると驚いたような顔の土方の顔。
しかし振り切るように歩き出すその姿に小さく笑ってしまう。


自然軽くなる自分の足元に奇妙な安心感を覚えながら
先回りするために右に折れる。

そうして追いついた進む土方の腕を横から掴むと引っ張って奥へ
連れていくと驚いたように声を荒らげ体を堅くする。
全く初々しくて笑ってしまう。

(せんせー、のが長く生きてるからねェ)

そしてそれを嬉しく思う自分もまだまだ若いと笑うだろうか。

「ちょっ…!」

「俺なりにお前のこと考えてみたわけよー。あれから何にもアクションもねーし、お前は避けるし、だからよ」

真意がつかめねぇつーのもな。男だし、教師と生徒だしよー。

強張る腕の力にますます力が入る。
何を言われるかと思っているのだろう。


「だけどよーお前の真意がなんだろうとお前が男だろうと生徒だろうと
…好きだわ、お前が」

「…え?」

振り返らずに告げた言葉に急に土方は立ち止まる。


それに覆い被さる様に振り返って、土方の唇に唇を重ね合わせると
紅い顔を覗き込んで笑ってやった。


誕生日というなんら変わらない日々の移り変わりの中で
立場は変わらず、境遇も変わらないが
確かに二人の間に付けられた名前はこの日、変わったのだ。


「やっと言いやがったな、銀八」

「焦らしプレイ?我慢できねぇとかそー言うこと?」

「ち、…違うッ!」

ますます顔を紅くして叫ぶ土方に銀八の笑い声が弾ける。
初秋の頃、新しい季節が始まろうとしている。

HAPPYBIRTHDAY!!

「昨日までの自分にさよなら」
お題配布:Orange Sherbet(加納あや様)
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2006
10,10
昔、天人をぶった切ってその返り血を浴びながら
真っ赤に染まる手を眺めていた頃、土佐訛りの言葉で
自分が生まれたことを喜ぶ者がいた。

"まっこと、うれしゅうがよ。酒じゃ、祝い酒じゃ!”

そう言って仏に備えられた筈の酒を取り上げると
杯に見立てた葉に酒を注いだ。
雫の様に葉に溜まる酒に口をつけながら己の生まれてきた意味を思った。

銀髪に生まれ、赤い瞳は邪眼と恐れられた。

「ただ、酒が飲みてぇだけじゃねぇか」

それでも嬉しかった気がする。
自分を受け入れる言葉にそっと笑みを零して。




ふと目が覚めると板張りの薄汚れた天井が視界に入って。
深く眠っていたことを知って数回瞳を瞬かせれば
覗き込む子供の瞳が四つ。


「…寝込み襲うなら、ヒゲ生やして来い、コノヤロー」

「突っ込み疲れるボケかまさなくて結構ですよ!」
「私にもヒゲ生えてくるアルか?新八!」

「生えるか、ボケェエエエ!!」

ぎゃいぎゃいと騒ぎ始める子供達を避けて身体を起こせば
机の上には手作りと思しき。


「…ケーキ?」


「そうアル!二人でとっても苦労したアル。…メガネは使えーし」
「初めて作ったんで自信ないですけど、味は保障しますよって、
何でそこだけ標準語!?」

いびつな丸は確かにケーキではあるが、クリームは均等でないし
何よりスポンジは半分膨らんで半分は萎んでいる。

再びいがみ合う二人を置いてクリームを掬ってみれば
甘さは申し分ない、思わずいつものひねた笑みは形を潜めた。

「ま、早く食おーぜ?」

「「うん!!」」


自分の居場所は流れて此処に。
流れた先で受け入れてくれる言葉があれば自分は
もう何もいらない。

自分が生まれたことに”嬉しい”。
ふと、宇宙の海を泳ぎ回ってる友と目の前でケーキを頬張る
子供二人がダブって見える。


ケーキに手を伸ばしながら緩んだ唇を隠すように引き締めた。
穏やかに生まれた日が始まる。


「ありがとう」

お題配布:Orange Sherbet(加納あや様)

2006
07,28
起き抜けに、ババァの怒鳴り声。
依頼人はムカツクガキだった。
神楽に命より大切なイチゴ牛乳を飲まれた。
依頼後、夕立に降られた。

ケチがとんと付いて回り、半ばずぶ濡れで軒下にて雨宿り。
そういえば、依頼に出かける時新八に傘を持っていけと言われてた、
なぁんて後の祭りだった。
八つ当たりをしようにも目の前には眼鏡は居らず、万事屋か自宅へ
戻っているはずだった。

(兎にも角にも依頼は無事終了したわけだしなァ)

これ以上悪い事何ざ起きようがねぇなァと雨が小降りになるのを待つ事
数十分、気配はなくいくら暑い盛りとは言え、濡れた体が少し肌寒くなってきた。
(…後、5分待って小降りにならにゃ、走って帰るかねェ)

そう覚悟を決めた矢先、漆塗りの濃い銅の番傘が傍で立ち止まった。
何時も見慣れた漆黒の制服ではなく、黒い着流しを艶に着た瞳孔開き気味
の土方君だった。
不審者を見るように足から頭の先まで見下ろす視線が今は救いの神だ。


まさか最後の最後に廻ってきたツケってコレじゃねェよなァ。

「よぉ、多串君。雨の中、散歩かィ?」

「…テメェも、ズブ濡れで散歩たァ、随分粋じゃねェか」

相手の楽しそうな口調に少しムッとしてねめつけるが
番傘の下の涼しげな男は痛くも痒くもない顔をしていた。


(やっぱり今日はついてねぇなァ…)
ついていない時はトコトンだ。それでも怪我もなけりゃ
犯罪に巻き込まれたり、何かを落としたわけでもねぇし。
そういって自分を慰めつつ、壁に寄りかかった身体を持ち上げた。
そろそろ動かさないとくっ付いてしまいそうだった。

「…オイ」

あ、そういえば目の前にこいつが居たんだった。

「あ、ごめんごめん。…傘に、入れてくれるわけ、ねーな」

そう少し不機嫌になりかけた相手に聞こえる範囲でブツブツ呟くと
案の定怒って一歩踏み出そうとする相手の腕をつかんでこちら側へ
引き寄せた。

相手が驚いた顔をしているその一瞬を付いて背に付いた部屋の中へと
相手を誘い込んだ。この辺りは出会い茶屋や怪しげな界隈が多い
事を済ました後、借りたとでも言えばいいか。


「さー多串君、一緒にたっぷり濡れようか~♪」
「バ、…馬鹿野郎ッ俺は濡れたくねーんだよー…」


界隈に残された番傘はそんな二人の声を笑うかのように
リズミカルに雨の滴を受け止めていた。

2006
05,20

坂田銀時という人物は「いい加減」の一言に尽きる。
ふわふわした銀髪に、だらしなく着崩した着流し、腰に刺した木刀。


百人百通りの印象を伝えるのが筋ってもんだが
それを纏めると大体そんな印象だ。
ろくに仕事もしねぇ最下層の人間で、いい加減とくれば俺が真っ先に嫌うタイプの人間だ。
努力もしねぇで、運に身を任せるような生き方。
人生を舐め切っているような顔をして、人を小ばかにする。

なのに何故か視界に入ってくる、この存在。
無視をしていればいいってぇのに、どうして関わっちまうんだか。
うまく立ち回れないのは、俺のほうかも知れねぇ。


「…、あのさ、多串君?怒ってんの?」

「あー?怒ってんじゃねー、呆れてんだっつーの」


何はともあれ、ここは屯所内の浴場なわけで、銀時は部外者だが
「夜道を泥だらけで帰ったら、風邪を引くだろ?」と
近藤さんが無理やり、俺と一緒に浴場へとほおり込んだ。
渋々泥を落として湯船に浸かるころには二人とも怒りは収まり
次第に疲労感がこみ上げてきて、無言になりつつあった。


広い風呂にはしゃいだ銀時が、流石にはしゃぎ過ぎたと無言の俺に肩を並べる。


「こんなデカイ風呂は久しぶりだもんよ、多少喜んだってさァ」
「それじゃねぇ、…いや、それもあるか。人の命狙いやがって」

「アァ、それのこと?・・・びびったかよ?、…ブフッ!!」」

にやん、と猫のように笑みを浮かべた銀時の後頭部を捕まえて湯に押し込んでやる。
したくもないお湯との熱烈なディープキスに暴れ数秒後
涙目になりながら顔を上げて、文句を言おうと口を開きかけて咳き込む相手を眺めやる。


「まぁ、驚きはしたが、…オメーなら、するんじゃねぇかと踏んでた」
「ハ…、?」


「俺は真撰組を捨てねぇ、お前は?」

「…、…」

どうしてこんなことを言ってしまうのか分からなかった。
こんな事を聞かせたところで、こいつはテメーの性分を守るというんだろう。

こいつ風にいえば、自分の剣の届く範囲を守るという奴だ。



何にも縛られねぇこいつの魂が羨ましいのかもしれねぇ。


すると突然鼻を抓まれた。

「…ッ、何しやがる」

「ほら、そういう顔してると、銀サン、置いていかれたみたいでサミシイな?」


サミシイ、がうそ臭く感じるのに案外真摯な視線にぶつかって驚く。
一人でウダウダ悩むのは性分じゃない。
悩む前に動く、それを心がけてきたつもりで。


「どーいう顔だ、コラ」
「え、…ちょ、…どんなスイッチ押したの、俺ェエエ?」

そのまま縁に後頭部を押し付けるようになった銀時に軽く乗りかかるようにして見下ろす。
意図がわからず視線が彷徨う演技。
何もかもがどうでも良いと豪語するが、保身は誰だって大事だ。
流されるままに変質する柔軟な身体であれば良いと思う傍らで、心が拒否をする。

鼻なのか、それともと悩む銀時にニヤ、と人の悪い笑みを浮かべる土方。


こうマウントされれば銀時は折れるしかない。



何せ、お互い惚れた中なので。


湯煙に温む口の中はもっと熱かった。



2006
05,12
今日も今日とてテロリストを追い掛け回して
屯所に戻ってきたのは午前様になりかけた23時40分頃。
それでもまだ夜の内に戻ってこれたのは奇跡といえよう。
その位、数日間激務に激務を重ねた日の連続で、隊士共々
疲労困憊で、鬼の副長と言えども意識を保って戻ってこれたのが
信じられない風体である。
先に帰っていた隊士らに迎えられ、軽く食事を済ませ風呂に入り、
休むので緊急時以外来るんじゃねェと言い置いてから自室へと
戻ったのだが。

(…なんでこいつが居やがるんだァアア?)

ついに自分は幻覚を見るほどに疲れてしまっているのだろうか。
部屋の中央に敷かれっ放しだった布団に横になって眠っているのは
銀色の天パがトレードマークの坂田銀時であった。
しかも深く眠っているのか、障子が開く音にも己が入ってくる音も
感知せずに眠り続ける。

銀色の獣か何かのようだ。
眠り続ける相手に最初はむかむかしたが、無防備な寝顔をこうも見せられて
1人激昂するのも大人気ないというもの。
それに、なんとなく、…何となくだが人の寝顔は落ち着くのだ。
己の側は安心すると言う事、暖かいと言う事、この獣はそれに感ずいて
じゃれてきて時に眠る。

(こうやって寝てりゃ可愛げがあるのによ…)

そう呟くと1人照れて相手の側へとゴソゴソと移動した。
そのままじっと相手の眠る姿を見ていたのだが、眠る姿は落ち着く上に
眠気を誘う。
疲労困憊な己を自覚する事もなく眠りに落ちていく。

そして。



まだ朝と呼ぶには早いが、障子が庭に面しているせいか
部屋が明るくなるのが早い。
傍に暖かな温もりを感じて銀時は薄らと眸を開けて、僅かに見開く。
土方が己の腕の中で眠っていたのだ。
昨日手薄になった屯所の警備を逆手に取り、土方の自室へと
来たのだが、散らかったままの書類、敷かれたままの布団に激務を思った。
確か数日前に、これから忙しいと聞いていた。

(…土方君を待ってたらあのまま寝ちまって、…それから)

相手が身動ぎ、眠りを妨げないように身体を離そうとすると
得られた暖に擦り寄るように再び身体を寄せる土方に小さく笑って
抱きしめて目を閉じた。

「お疲れ様、土方君」

起きたら来た理由を徹底追求されるだろうけれど
それもどうかなっちゃうほど、相手の疲れがなくなればいいと思いながら。

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